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【自費ベッドの落とし穴】そこに特殊寝台が必要な理由があるんかい?と考える。

恥さらし:自費ベッド。介護保険を利用しないから、必要な理由って特に深く考えていませんでした!

つぶあんこ
つぶあんこ

福祉用具屋さんが、営業に来てくれて、自費ベッドのチラシもらいました!

先輩
先輩

自費ベッドって本当に安いよね。2割や3割負担の人にとったら、介護保険を使うより安いよ。

つぶあんこ
つぶあんこ

そうですよね。でも要介護2以上になったら借りれませんけどね。

先輩
先輩

そこだよね。自費ベッド使っている利用者さん多いけど、だいたい普通のベッドでも生活できる人多いよね。

つぶあんこ
つぶあんこ

そうなんですよ。要介護2になった時に、貸与の理由を考えないといけないですよね。

先輩
先輩

特殊寝台が介護保険でレンタルできるように理由を考えるのは、本末転倒だね。

つぶあんこ
つぶあんこ

・・・。確かに。

福祉用具貸与事業者さんの企業努力で、介護保険を利用しない自費のベッドが安価でレンタルできるようになっています。事業所さんによって価格にバラツキはありますが、サイドレールやマットレスを含め、1500円程度で借りる事ができます。介護保険でレンタルした場合とほとんど変わらない価格です(1割負担の場合)。

本当は10倍のレンタル価格を9割引で貸与しているのですから、出血大サービスですよね。

この大特価については、もちろん条件付きであり、このサービスの裏側としては要介護2以上になったら介護保険で借りてくださいね。というメッセージが込められているのです。要介護2以上になったら自費ベッドをレンタルできる事業所はほとんどないのではないでしょうか。

要介護2の状況になれば、身体の様態的に特殊寝台が必要な状態となっているかもしれません。しかし、そうでないかもしれません。

介護保険で想定している「特殊寝台が必要な状態」とはどういう状態なのでしょうか?

今回はその事をテーマに考えてみましょう。

「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」を覗いてみる

福祉用具は利用者の自立に大きく寄与する力を持っていると同時に誤った利用をすると、利用者が本来持ち得た力を奪ってしまう可能性があります。よって国は、介護支援専門員に対し、福祉用具貸与や販売を居宅サービス計画に位置づける場合に妥当性の検討を行う事や必要性を居宅サービス計画に記載する事を運営基準において取り立てて示しています。

また国は介護保険における福祉用具が要介護者等に適正に利用されるよう、介護支援専門員が居宅サービス計画に福祉用具を位置付ける場合等における標準的な目安として「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」を平成16年6月に作成しています。

ちょっと古い資料になりますが、ここで特殊寝台がどのように記載されているかを見ていきましょう。

そもそも特殊寝台とは

特殊寝台は、分割された床板が可動することにより、起き上がり等の動作を補助する福祉用具で、要介護者等の自立を支援するとともに、介護者が身体を痛める危険性を避けるためにも用いられる。福祉用具としては比較的大きなスペースを必要とするものであり、部屋の形態、出入り口の位置、起き上がる方向など、動作の仕方を考慮して配置を決めることが重要である。 また、マットレスやサイドレールなどの付属品によって、背上げや膝上げ、高さ調整機能が阻害されることがないよう、適応機種を確認する必要がある。

ここで、注目されたいのが分割された床いたが可動することにより、起き上がり動作を補助するとあります。つまり、この機能を利用しないのであれば、そもそも特殊寝台を使用する様態でないという事が考えられます。

国が定める特殊寝台とは?

では基本的なところに立ち戻ってみて、特殊寝台というものはどういったものかどうかについて考えてみましょう。「厚生大臣が定める福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」、法第 44 条第1項の規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護福祉用具購入費等の支給に係る特定福祉用具の種目」及び法第 45 条第1項規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類」(一部抜粋)ではこのように記載されています。

国で決められている特殊寝台とは

サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付けることが可能なものであって、次に掲げる機能のいずれかを有するもの

一 背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能

二 床板の高さが無段階に調整できる機能

ここにおいても、サイドレールが取り付ける事が可能であって、背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能床板の高さが無段階に調整できる機能が備わっている必要があるとされています。よって、この機能を必要としないのであれば、そもそも特殊寝台が必要な様態と考えにくいのです。

特殊寝台の軽度者貸与の要件を覗いてみる

次は軽度者の貸与要件の角度から見ていきましょう。特殊寝台は通常要介護2以上でないと介護保険で貸与する事はできません。しかし、例外的に以下の条件に該当した場合においては、要介護1や要支援であっても、特殊寝台を介護保険でレンタルする事ができる場合があります。

要介護認定の認定調査票(基本調査)の直近の調査結果以下の場合

(1)(2)のいずれかに該当する者

(1) 日常的に起きあがりが困難な者 基本調査 1-4「3.できない」

(2) 日常的に寝返りが困難な者 基本調査 1-3「3.できない」

直近の認定調査において、起き上がりや寝返りが「できない」に該当した場合は、特殊寝台の必要性がある様態であるという事が考えられます。

その他、医師の医学的な所見に基づき判断され、かつ、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具貸与が特に必要である旨が判断される場合、保険給付できる場合があります。

医師の医学的な所見に基づき判断され、かつ、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより必要性があると判断される場合

i)疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって頻繁に利用者告示第三十一のイに該当する者

(例 パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象)
ii)疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期のうちに利用者告示第三十一号のイに該当するに至ることが確実に見込まれる者

(例 がん末期の急速な状態悪化)
iii)疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から利用者告示第三十一号のイに該当すると判断できる者
(例 ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)

(例 ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)
注:括弧内の状態はあくまでも例示です。逆に括弧内の状態以外であっても、該当する場合があります。

上記にあるi)ii)iii)利用者告示第三十一号のイの状態とは、特殊寝台でいうと、上記で示した起き上がり又は寝返りが「できない」に該当すると状態という事を指します。



つまりは、特殊寝台が必要な様態とは?

まとめ(つぶあんこ説)

・起き上がりや寝返りができない状態

・背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能や床板の高さが無段階に調整できる機能を要する状態

・医学的所見・サービス担当者会議を通じて導き出される適切なケアマネジメントで特殊寝台が必要と判断される様態

以上が法令や基準から想定される、又つぶあんこの私見も交えた特殊寝台の介護保険で必要とされる様態です。

特殊寝台は基本的に要介護2以上あれば介護保険で貸与する事ができます。しかし、実際多くの介護支援専門員が目にしているように、要介護2であったとしても、特殊寝台が必要な状態とは限りません。

利用者さんが要介護2になり、継続して特殊寝台の貸与を希望した場合、その利用者さんが上記のような必要な様態でなければ、特殊寝台が必要な理由を利用者さんからひねり出すといった残念なケアマネジメントをする必要が出てきます。それは本来の介護保険の趣旨とは違いますよね。

実際、自費ベッドをレンタルしなくても通常の固定式ベッドを購入しても事足りる利用者さんが多いのではないでしょうか。自費ベッドは安価で搬入や引き上げがとても便利です。ケアマネージャーにとっても福祉用具屋さんに電話1本で導入してもらえる事を考えたらこんなありがたいサービスはありません。

しかし、一度導入して、要介護2になった場合、その時に必要性が本当に見いだせるでしょうか。自費ベッドに加え、通常の固定式ベッドについても合わせて検討してみてもよいのでは?と今回は考えてみたのであります。

では、明日も適当に頑張りましょう。「ケセラセラ。」

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