ある日のつぶあんこ所属のケアプランセンター。
令和6年度からの介護支援専門員が担当できる件数が大幅に上昇したことについて話は持ち切りです。雇われケアマネの私たちは、このニュースを喜んでいるわけではないのです。
令和6年度から担当できる利用者さんの件数って大幅に増えますよね。
44件だったっけ?上限増えても、うちの給料変わらないし、苦しいよね。
雇われケアマネにとっては、残念な改正です。
ケアプランデータ連携システムを利用して、事務員さんを配置している場合は、利用者の数が49件まで担当できるのよ。
そんなん、身体もちませんよ。。。ケアマネ不足だからって。。。
介護予防支援のカウントも3分の1になるしね。
令和6年度から大幅に居宅介護支援事業所の1人あたりのケアマネージャーが担当できる件数が増えました。
従来の上限では、35人であった件数を、44人まで担当できるようになりました。
また条件付きで49人まで持てるということになるので、ケアマネージャー不足が深刻なことが伺えます。オンラインを活用したモニタリングが解禁されたことも背景はここにあるかもしれません。
では、具体的な内容を見ていきましょう。
令和6年度からは、居宅介護支援の基準は以下の通りになっています。
・指定居宅介護支援事業者は、当該指定に係る事業所(以下「指定居宅介護支援事業所」という。)ごとに一以上の員数の指定居宅介護支援の提供に当たる介護支援専門員であって常勤であるものを置かなければならない。
・利用者の数(指定介護予防支援を行う場合にあっては、当該事業所における指定居宅介護支援の利用者の数に当該事業所における指定介護予防支援の利用者の数に3分の1を乗じた数を加えた数。)が44又はその端数を増すごとに一とする。
・ 指定居宅介護支援事業所が、ケアプランデータ連携システムを利用し、かつ、事務職員を配置している場合は、利用者の数が49又はその端数を増すごとに一とする。
従来であれば、介護報酬基準上で、介護予防支援のカウントは1/2人とされていましたが、今回は運営基準においても明記され、かつ介護予防支援のカウントは1/3人とされました。
ここで注目したいのは介護予防ケアマネジメントが入っていないということです。従来もそうであったのですが、介護予防ケアマネジメントの対象の利用者さんに関しては、取扱い件数にカウントされません。
簡単にいうと、要支援の利用者さんで、総合事業のサービスのみを利用している利用者さんは、介護予防ケアマネジメントとなります。
つまりは、「ヘルパーさんだけ」「デイサービスだけ」「ヘルパーさんとデイサービスだけ」といったサービスを利用している人は介護予防ケアマネジメントとなります。
それ以外のサービスを利用している人は介護予防支援となります。例えば「訪問の看護師さんにきてもらっている」「訪問のリハビリにきてもらっている」といった人です。
居宅介護支援事業所が他の事業所と併設している場合等には、事務員さんが配置されていることが考えられます。介護支援専門員の担当の上限を49件にするためには、事務員さんの配置が必須になります。この事務員さんの配置については以下のように示されています。
事務職員の配置については、その勤務形態は常勤の者でなくても差し支えない。また、当該事業所内の配置に限らず、同一法人内の配置でも認められる。勤務時間数については特段の定めを設けていないが、当該事業所における業務の実情を踏まえ、適切な数の人員を配置する必要がある。
ケアマネジメントのおける一連の業務はもちろん介護専門員が行う必要がありますが、その部分に関しての関節的な業務については事務員さんにも行ってもらっていいとされています。具体的には以下のように例を示されています。(「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月 15 日)」の送付についてより)
○ 要介護認定調査関連書類関連業務 ・ 書類の受領、打ち込み、複写、ファイリングなど
○ ケアプラン作成関連業務 ・ 関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
○ 給付管理関連業務 ・ 関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
○ 利用者や家族との連絡調整に関する業務
○ 事業所との連絡調整、書類発送等業務
○ 保険者との連絡調整、手続きに関する業務
○ 給与計算に関する業務 等
公益社団法人 国民健康保険中央会が提供しているサービスであり、このシステムを利用したら、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間の情報の共有がインターネットを利用して行えるという代物です。
情報共有できる内容としては居宅介護支援事業所のケアマネージャーが作成する、「居宅サービス計画書」の1表と2表、そして利用表と利用表別表(6表、7票)、また介護事業所が作成する実績になります。今まで紙ベースで行われてきたやり取りが簡略化できるというものになります。
上記で示している通り、居宅サービス計画の3表のやり取りできません。よって居宅介護支援事業所にとって3表の計画書は従来通りの方法にて交付する必要があります。また、現在のところ要支援の利用者に対しては地域包括支援センターから委託を受けている場合においては、当該利用者についての情報共有はできません。
また居宅ケアマネが求めることが義務となっている介護サービス事業所が作成する個別計画書についてはやり取りすることができません。これも従来通りの方法で求める必要があります。そして、当然の話かもしれませんが、このシステムを利用するにあたっては年間21000円の費用が発生します。
・ケアマネージャーの担当件数が増加
令和6年度から1人あたりのケアマネージャーが担当できる利用者の件数が増え、最大で44人または49人まで増加した。
ケアプランデータ連携システム導入と事務員配置することで最大1人あたり49名まで担当可能
・介護予防支援のカウント方法変更
介護予防支援の利用者のカウント方法が1/3人に変更。
介護予防ケアマネジメントには含まれない。
コロナの経験を背景に、居宅介護支援事業所においても、ICT活用を活用する事業所が増えたのではないでしょうか。このICTをモニタリングに活用できることに令和6年度から変更になりました。
取扱件数の上限が増えたとしても、ケアマネの時間は限られています。ICT等の活用をしながら、効率よく効果的にケアマネジメントができるように居宅介護支援事業所体制も変化していく必要がありますね。また、大事にするところ、捨てるところ、ケアマネの仕事も取捨選択が求められてくるでしょう。
では、また明日も適度に頑張りましょう。ケセラセラ。