恥さらし:短期入所生活介護利用中の福祉用具貸与品の持参、ダメなんですか?
ある日のつぶあんこ所属のケアプランセンター。
つぶあんこ担当の利用者さんが、初めてショートステイを利用する事になりました。その打ち合わせをショートステイ先の担当者さんと行っています。
田中さんは車椅子レンタルされているので、それを持っていってもらったらいいですよ。
わかりました。では、またよろしくお願いします!
ちょっと、つぶあんこ。レンタルしている車椅子をショートステイ先に持って行くつもり?
え!?ダメなんですか??
介護保険のレンタル商品は、自宅で使う事が前提になってるんだよ。ショートステイ先にも車椅子はあるでしょ?
福祉用具貸与品は居宅で使うものである。もちろん、認識していますが、ショートステイ先にレンタルしている車椅子持っていく事が果たしていけない事なのでしょうか?先輩に指摘されても、イマイチ納得いかないつぶあんこ。そして、Google先生に今日答えを答えを乞うのです。
結論、お国の運営基準等では、ショートステイ先に貸与している福祉用具を持参したらならぬという決まりを示していないようです。そして、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正についてでは、「なお、福祉用具貸与費については、短期入所生活介護又は短期入所療養介護を受けている者についても算定が可能であること。」「特定施設入居者生活介護費(短期利用特定施設入居者生活介護費を算定する場合を除く。)又は認知症対応型共同生活介護費(短期利用認知症対応型共同生活介護費算定を算定する場合を除く。)、地域密着型特定施設入居者生活介護費(短期利用地域密着型特定施設入居者生活介護費を算定する場合を除く。)若しくは地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護費を算定している場合は、福祉用具費は算定しない。という中に短期入所生活介護又は短期入所療養介護は含まれていません。
しかし、短期入所生活介護事業所(ショートステイ先)は、短期入所生活介護を提供するために必要な設備及び備品等を備えなければならない。という基準がありますので、短期入所施設への貸与品の持ち込みについて独自にルールを示している自治体があります。今回は3つの自治体のルールを覗いてみましょう。
ショートステイ利用中でも福祉用具貸与費の算定は認められています。しかし、これは、ショートステイ利用中の短い期間で、一度返却し、退所後再度搬入することが、非常に不合理であるということから認められているものであると本市は考えます。そのため、ショートステイ利用中であっても、以下の場合には、福祉用具貸与費の算定を認めませんので、御留意下さい。
○当該福祉用具をショートステイ施設内のみで利用する場合。
※この場合、当該福祉用具の費用は、ショートステイの報酬に包括しているものと考えますので、ショートステイ事業所が用意すべきものであると考えます。
○当該月に利用者が在宅にいないことが、予め分かっている場合。
※最初から1ヶ月間のショートステイの利用計画を立てて、実際に利用した場合など。
(1)短期入所施設への貸与品の持ち込みについては、次のように考えられます。
〇貸与された福祉用具は、利用者の居宅において利用されるものである。
〇短期入所生活介護事業所は、短期入所生活介護を提供するために 必要な設備及び備品を備えなければならない。
※居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第37号)第193条、124条
(2)このため、短期入所施設への、貸与された福祉用具の持ち込みは認められません。短期入所施設内での福祉用具費用は、短期入所サービスの報酬に包括されているものであり、施設内で使用される福祉用具は短期入所施設が用意するものと考えられます。
(3)これらを踏まえたうえで、次の場合においては、短期入所施設への、貸与された福祉用具の 持ち込みが認められる場合がありますので、必ず事前に介護保険課までご相談ください。
〇担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントの結果、短期入所施設に備え付けの福祉用具では、施設内での生活が困難と判断される場合。
短期入所生活(療養)介護と福祉用具貸与との相互関係について
ア 基本的な考え方
短期入所生活(療養)介護(以下「短期入所」という。)を利用している間の福祉用具貸与に係る費用については、短期入所の報酬の中に包括的に含まれています。算定基準において、短期入所と福祉用具貸与との間に特段の算定制限がないのは、短期入所の短い期間に居宅から福祉用具を搬出入することが著しく不合理であるためです。
イ 指定(介護予防)福祉用具事業者から貸与された福祉用具(以下「指定福祉用具」という。)を短期入所先で利用することについて上記アの考え方により、指定福祉用具を短期入所先で利用することは原則できません。ただし、使い慣れた指定福祉用具を利用したいなど利用者の希望がある場合には、次の要件を満たすことにより、短期入所先でも指定福祉用具を利用することを可能とします。
ただし、これは実質的な施設入所である、連続して30日を超えての利用又は利用が想定される場合(以下「ロングショート」という。)には適用されません。このような場合には、短期入所事業者において福祉用具を用意する必要があります。
・ 当該指定福祉用具を利用者が居宅において使用していること。
・ 当該指定福祉用具の短期入所中の使用を利用者が希望していること。
・ 短期入所の期間が連続して30日を超えないこと(自費の場合も含む)。
・ 当該指定福祉用具の使用が、利用者の短期入所での生活上必要不可欠であること。
ウ ロングショート中に、「30日リセット」を行った場合について
30日リセットは施設入所と変わらない利用を防止するためのものであるため、30日リセットのために暦日で1日以上元の自宅に戻る場合、居宅は元の自宅であると考えることができます。よって、1日だけの利用であっても、元の自宅で福祉用具貸与を利用することができます。ただし、利用者の状態像や自宅の生活環境にあった福祉用具を位置付けるよう、適切にアセスメント等を実施し、居宅サービス計画等に位置付けてください。
どうやら上記3つの市町村の意見を鑑みると、手放しで「ショートステイ先でも使っていいよ。」といっているものではないという事がわかります。特にロングショートを利用する場合においては算定を不可としている場合が多いようです。自宅で使用するという前提があるという事なんでしょうね。条件付きで持参して良いという見解においても、市町村によってばらつきがある為、ここはやはり、市町村に個別に確認を取る必要があるといえるでしょう。特にロングショートステイの場合は確認必要ですね。
・基本、貸与された福祉用具は、利用者の居宅において利用されるものである。
・ショートステイ先(施設内)で利用者が使用する福祉用具は原則ショートステイ先が準備する事としている市町村が多い。
・ロングショートステイの場合は算定できない可能性が高い
・算定できる条件が市町村によって異なる為、個別の確認が必要
福祉用具貸与については、市町村によって独自ルールを決めている事が多いような印象です。例えば他には、同一品目複数貸与の取り扱い、軽度者の貸与における事前手続きの方法等、細かい所は適宜確認が必要ですね。市町村のホームページを覗いてみると、色々な介護保険サービスの運用上の市町村の解釈が記されていたり、独自のルールについての説明がされています。一度お勤めの市町村の介護保険事業者向けのページを覗いてみてください。
また明日も適度に頑張りましょう。ケセラセラ。