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【怒れるケアマネのみなさまへ】ケアマネージャーにこそ必要な、アンガーマネジメントという技術

なぜケアマネージャーにアンガーマネジメントが必要なのか

居宅介護支援専門員の仕事をしていてつくづく思う事は、人間はとても感情的な生き物であるということ。相手に言われたことやちょっとした他人の行動に対して、嬉しくなったり、悲しくなったり、時には怒りを覚えたり。とにかくいろいろなことに人間は感情を揺さぶられます。

介護が必要な場面というものは、利用者や家族がその不都合な事態に遭遇しており、彼らの感情は揺さぶられています。どちらかというとポジティブな反応ではないことが多いですよね。

先の見えない不安、今までできていたことができなくなってしまっている、親しい人との別れなどなど。

そのような場面において、ケアマネージャーは利用者や家族と接するのですから、そのままならない感情をぶつけられることも多いはずです。

一番避けたいのは、その感情に対して衝動的に怒りで返してしまうこと。怒りはメリットとデメリットがありますが、利用者に対して衝動的に怒りをぶつけることはデメリットでしかありません。

そこで今回つぶあんこが学んでみたのがアンガーマネジメントです。アンガーマネジメントとは、自分の怒りをコントロールするテクニックのこと。

なぜこれを学んでみようと思ったのかというと、このアンガーマネジメントができるようになれば、不必要に心を乱されることがなく、冷静な気持ちで仕事をすることができると考えたからです。

ケアマネージャーの心の健康こそが、利用者に対しての良い支援に繋がると私は信じています。

そこで今回の記事では、利用者やその家族から感情をぶつけられた時など、衝動的に怒らないためのアンガーマネジメントのテクニックと実際に実践してみたレビューを紹介していければと思います。

そもそも怒りとは何なのか

怒りは、人間の一つの防衛反応であり非常に自然な感情です。人間である以上、怒りなしで生きることはおそらく不可能でしょう(特異な人は除きますが)。

怒りは他の感情よりも強力な反応を引き起こします。現代においては、生命を脅かすような危険はめったにありませんが、太古の昔はそうではありませんでした。さまざまな危険から生命を守るための反応として、怒りは人間の生存になくてはならないものだったのです。

怒りは、他の感情が混ざり合って出てくるものです。例えば、期待していたことが叶わなかったり、心配事があったりすると、怒りになることがあります。怒りは喜びよりも強く人に伝わり、特に身近な人々に移りやすいとされています。不機嫌な上司、不機嫌な同僚、不機嫌な夫、妻、色々な不機嫌な人々からの怒りは、瞬く間に周囲に広がります。

怒りの源は価値観の違いと期待のずれ

私たちはそれぞれの価値観の元、「こうあるべき」であるという人間のあり方を持っています。居宅介護支援専門員でも色々なタイプの人がいますよね。

  • 「ちょっとしたことでもケアマネージャーに報告をすべき」
  • 「訪問介護や通所介護同士の細かい連携は、事業所間ですべき」
  • 「ケアマネージャーは利用者さんのニーズを最優先に考えるべき」
  • 「ケアマネージャーになんでも困ったことは頼ってほしい」
  • 「家族がすべき事にケアマネージャーが介入すべきではない」

実際、事業所の方針や個々のケアマネージャーの価値観は多様で、みんな一緒ではありません。

怒りが発生する主な原因は、自身の独自の価値観に基づいて期待した結果に、相手がそれに応えなかったことです。

怒りは、期待が裏切られたり、他人の行動が期待に反していると感じたりすると、感情的な反応として現れます。価値観の違いや期待のずれが、時には摩擦や衝突を引き起こすこともあるのです。

衝動的な怒りを抑えよう!

怒りをぶつけられた場面で、感情をそのまま怒りで返したくなるのは人間の本能です。しかし、我々介護支援専門員として、利用者さんや家族等の怒りに対して、カウンターパンチのように反撃することは当然できません。なぜなら、衝動的な怒りは理性的な思考を奪い、色々な信頼を傷つける可能性が高いからです。怒りに対して攻撃的に反応すると、関係が悪化し、時には自分自身をも傷つけることにつながります。最終的には後悔や罪悪感が残ることでしょう。

介護支援専門員として大切なのは、自分の沸き起こる怒りを冷静に理解し、適切に対処することです。ではここからはつぶあんこが実践した衝動的な怒りの抑え方についてレビューをしていきます。

衝動的な怒りを抑えるアンガーマネジメント手法の実践ログ

とある日、つぶあんこはクレームを受けました。見ず知らずの人からの介護保険の問い合わせの電話があり、対応していました。電話の途中で「おまえは人の話を遮りやがって、こうっちはどうしらいいかわからんから相談してるんやぞ!」と相手が突然にご立腹。どうやら私の、「〇〇したらどうすか?」という提案を話す時に、相手の話と重ねってしまったようです。その後「お前じゃ話にならん、もっとマシな奴と変われ!!」と言われてしまいました。私としても反省すべき点はありますが、一方で怒りも感じました。

「なんて横柄な人なんだ」「そもそも相談する態度じゃない」「別にお客でもないし。」「本題に入るまでの長い、どうでもいい話を十分に聞いたあと、よくこんな事が言えるな。」

負の感情が止まりません。いかんいかん、これでは怒りに自分が飲み込まれてしまう。では、これを好機に衝動的な怒りを抑えるためのテクニックを実践してみました。

カウントバックをしてみた結果

カウントバック法を試してみました。カウントバック法は、数を数えることで冷静さを取り戻す方法です。100から3ずつ引く方法もありますが、私は長谷川式簡易知能評価のように、7ずつ引く方法を試しました。93、86、79…怒りの感情が高まっている時に正確に計算できない自分に気付きました。それでも一桁になるまで続けました。

怒りのピークから少し離れたように感じました。怒りは完全には消えませんでしたが、その後も冷静に作業を続けることができました。

グランディングをためしてみた結果

とある日、つぶあんこは利用者さんの家族さんから呼び出しを受けました。「つぶあんこさん。ヘルパーさんのことで話があるの。」その家族さんの口調からして、絶対苦情だ。私は確信しました。ヘルパー事業所は同一法人の場所を使っていたので、なまじ他人事のようにはできません。重い足取りで自転車のペダルを漕ぎます。

案の定、家族さんの「ヘルパーの話」はクレームでした。その内容は「卵焼き」でした。卵料理は腐りやすいのに、前日に作ったものを母に提供していることがある。これは非常識ではないかというものでした。お宅はヘルパーにどういった教育をしているのかとも叱責を受けてしまいました。

「私もその卵の知識、知らんかったよ」「そんなに衛生面が気になるんだったら、全部冷凍のものを提供したらいいんじゃないの」「これから卵料理以外にも料理のことで色々言われるんだろうな。」「そもそもヘルパーさんの苦情なのに、なんで私に怒ってるの」「ケアマネージャーがヘルパーの教育なんで、できんよ。」などなど。私はそんな怒りがふつふつと湧きました。

事務所に帰っても怒りは治まらず仕事が手につきません。そして、私は早速アンガーマネジメントのグランディングをしてみることにしました。

グランディングとは、怒りにとらわれて目の前のことに集中できない時に、意識を現在の場所に集中させるために使うテクニックです。方法はとてもシンプルです。目の前のモノにひたすら集中し、観察するのです。それは何だっていいのです。つぶあんこの目の前に「生茶」のペットボトルがありました。今回は「生茶」でグラウンディングスタートです。

とりあえず、とことん「生茶」を真剣に観察し、自分で質問をしながら、回答していきます。

販売しているメーカーはどこですか?
KIRINです。
内容量はどれくらいですか?
内容量は525ml。この25mlって中途半端だな。
キャップの色は?
渋い緑
生茶の生とは
摘みたてのお茶の香りの「生」

私の観察と、質疑応答はこのように繰り返されます。

グラウンディングの効果としては、過去に起きたことでイライラしたり、怒りむけて思いをめぐらしている状態から、今に意識を向けることができるというものです。最初はあまり効果がみられなくとも、これを繰り返すと、上達し意識を怒りからそらすことができるようです。

実践した感想としては、衝動的に怒りを何かにぶつけてしまうようなことはありませんでした。私は怒りにさいなまれた時、よくそのことが頭に張り付き、仕事に集中できないことがあります。しかし、怒りは残存していましたが、今回においてはそういったことにはなりませんでした。よって一定の効果があったと思われます。

今回のアンガーマネジメントの実践にあったっての参考文献

この本は、アンガーマネジメントを理論から実践まで幅広く解説されており、特に初心者には非常に役立つ一冊です。複数の具体的な事例が示されており、理解しやすい説明が魅力です。

この本は「アンガーマネジメント入門」よりもさらにとっつきやすくアンガーマネジメントについて解説しています。図解を豊富に使用しており、視覚的にも理解しやすい特徴。大人だけでなく、中高生のような子供たちにもアンガーマネジメントを楽しく学ぶ手助けになる一冊です。

怒らない人間はいません。私達はおそらく一生涯この人間の本能の感情「怒り」と付き合っていかなければなりません。しかし、「怒り」がそもそもどういったことで起こるものなのかというメカニズムを知っていれば、その怒りに対して冷静に対処することができます。自分に湧く怒りもそうですし、相手が沸いている怒りについても客観的に観察することができます。

そして衝動的な怒りを抑える方法や、習慣的に怒りを客観視できるような方法がアンガーマネジメントには多数あります。

今回ご紹介したのはほんの一例にすぎません。「怒り」に対しての向き合い方について学ぶことは、ケアマネジメントにおける対人支援についても非常に役立つと思います。

アンガーマネジメントはとてもたくさん書籍等が出ています。もしご興味があれば、どんどん理解を深めていってください。

また明日も適当に頑張りましょう。ケセラセラ。

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