あるつぶあんこ所属するケアプランセンター。
つぶあんこは、担当する利用者さんの転倒が多くケアマネベテランの大森先輩に相談しています。
私、今回初めて担当の利用者さんに認知症老人徘徊感知機器の利用を勧めてみようと思うんです。
そうなんだね。徘徊される利用者さん?
一人で歩けないけれど自身でベッドから出ようとされてしまって、何度もベッドの横で転倒されるんです。家族さんからその事について相談されていて。転倒防止の為に使用できないかと。
それは大変だね。でも認知症老人徘徊感知機器って、転倒予防の為にレンタルってダメだって役所に言われたことがあるけど。
え??ダメなんですか?施設では転倒防止でよく使用していますけど。
施設入所されている方で、ベッドサイドに認知症老人徘徊感知機器を設置されている方がいらっしゃると思います。これは、ベッドから一人で起き上がり、立ち上がり、歩行する際に介助が必要で、ナースコールを自ら押されることなく動作をされる方に対して、転倒防止のために設置されているケースが多いのではないでしょうか。
施設では当然のように転倒予防の目的でこの認知症老人徘徊感知機器を利用しているので、つぶあんこは、認知症老人徘徊感知機器の福祉用具を提案しようと考えたのです。しかし、ここで大森先輩から「それは福祉用具貸与の本来の目的に沿った使用と合致しているのか?」との意見がありました。
では、この認知症老人徘徊感知機器の本来の使用目的について確認していきましょう。
「厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」、「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取り扱いについて」法第 44 条第1項の規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護福祉用具購入費等の支給に係る特定福祉用具の種目」及び法第 45 条第1項規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類」(一部抜粋)ではこのように記載されています。
認知症老人徘徊感知機器
介護保険法第5条の2第1項に規定する認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの。
貸与告示第11項に掲げる「認知症老人徘徊感知機器」については、解釈通知において、「屋外へ出ようとした時又は屋内のある地点を通過したときに家族、隣人等へ通報するもの」を対象としているところであるが、今般、検討会での議論を踏まえ、「ベッドや布団等を離れた時に通報する」ものについても、「屋内のある地点を通過した時に」の解釈に含まれ、給付対象であることと整理したものである。
上記の規定からすると、転倒を防止する事ではなく徘徊の対策として貸与が認められるものである事が伺えます。ベッドやふとん等を離れた時に通報するものについても解釈に含まれるとはされていますが、利用目的はやはり徘徊の対策なのでしょう。では、このつぶあんこの担当している利用者さんは認知症老人徘徊感知機器を貸与する事ができないのでしょうか?
利用者さんの疾病には認知症があり、また自力歩行が困難で一部の介助が必要。室内を徘徊されようとする事で転倒が頻回に起こっている事が課題であるというアセスメントをしたらどうでしょうか?本来の目的にあったケアプランの作成ができそうですね。
利用者さんの課題が見えてきた事で、その事による目標設定が見えてきました。例えば、「徘徊を未然に防止でき、転倒せずに生活することができる」という目標であれば、徘徊の副次的な効果として転倒を予防できることとなります。
令和3年4月の介護保険の一部改正によって、認知症の定義が一部変わりました。そもそも、認知症老人徘徊感知機器の貸与の対象としている人はこの「介護保険法第5条の2第1項に規定する認知症である老人」とされています。
介護保険法の施行令第1条の2には、認知症が定義されています。具体的には、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患、脳血管疾患などによる後天的な脳の障害により、日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態を指します。ただし、せん妄や鬱病、厚生労働省令で定める精神疾患は除かれます。また、アルツハイマー病などの特定の診断名がつくものだけではなく、原因が「特定不能」の認知機能の低下も含まれます。
・認知症老人徘徊感知機器を介護保険でレンタルする場合の主目的は徘徊対策
・対象としている人は認知症の老人
・認知症の老人とは、定義がある。
福祉用具貸与については、市町村によって独自ルールを決めている事が多いですね。運営指導において、「これは、本来の貸与目的ではない!」と言われる前に、計画書の書き方に工夫をしてみましょう。
また明日も適度に頑張りましょう。ケセラセラ。