とあるつぶあんこ所属のケアプランセンター。国から出された「令和6年度の介護保険改正」にむけて、ケアマネージャー同士、話はつきません。
令和6年度からテレビ電話装置等を活用したモニタリングができるようになるみたいですよ。
そうだね。今まで半年間のサービス別の割合と紹介サービス事業所のトップ3の説明が努力義務になったね。
さすがに、アセスメントはダメなんじゃないですか?カメラだとほぼ顔しか見えないし。利用者さんのスマホ操作能力が問われますね。
最近はLINE使える利用者さん増えたもんね。
デイサービスでスマホ教室して欲しいですね。スマホ操作指南加算創設希望。
オンラインショッピングとかできたら、もはや生活援助激減しそう。
でも、テレビ電話装置等を活用したモニタリングするのって要件書いてあったよね。
そうです、そうです、えっと。。。
令和6年度の介護保険の改正で居宅介護支援事業所においてテレビ電話装置等を活用したモニタリングができるようになりました。感染症対策やケアマネージャーの人員不足が背景にあると考えられます。
この方法でモニタリングができるようになれば、ケアマネージャーの業務効率化が期待されますが、全ての対面訪問をテレビ電話装置等を活用したモニタリングに切り替えるのは現実的ではないでしょう。
テレビ電話装置等を活用したモニタリングをするかしないかは別として、選択肢を多く持つことは悪いことではありません。一人ケアマネージャーであれば、万が一自分の身に何か起きて、利用者宅を訪問できない事象が1月を超えてしまったら、それでこそ運営基準減算となってしまいます。そのため、事前に体制を整えておくことが重要です。
さて、テレビ電話装置等を活用したモニタリングですが、条件があります。今のところ示されているのは以下の通りです。
①利用者の同意を得ること。
②サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
ⅰ 利用者の状態が安定していること。
ⅱ 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
ⅲ テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報
を収集すること。
③少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。
まず、利用者の同意が必要です。この同意ということは、「文書で取りなさい」とされています。後々、「言った、言わない」ということがよく起きるのが、この業界ですね。また同意を取る際には、利用者に対して以下の内容を伝えることとされています。
テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)を懇切丁寧に説明することが重要である。
また、利用者自身に対して認知機能が低下している場合などで、同意を得ることが困難である場合については、テレビ電話装置等を活用したモニタリングの対象者とは想定されていません。同意を取ることができない利用者に対しては、そもそもオンラインでの面談ができない。というのがお国の解釈なのでしょう。ここについてはアセスメントとの整合性の確認が必要かもしれません。
以下のような文章を友人のAIに作ってもらいました。事業所バージョンに改変してご使用ください。
拝啓
いつも当事業所の介護サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。皆様の健康と安全を最優先に考え、サービスの質の向上に努めております。
令和6年度の介護保険法改正に伴い、新たなケアマネジメントの取り組みについてご案内申し上げます。これまで利用者様のご自宅を毎月訪問しておりましたが、新しい制度により、毎月の訪問のうち2か月に1回はテレビ電話装置等を活用したモニタリングに変更することが可能となりました。
テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは、ビデオ通話(LINEやZOOM等のアプリを使用する)を通じて、今まで訪問によって行っていたモニタリングを実施します。
この取り組みは、感染症発生時等においても持続可能で、又柔軟なケアマネジメントを提供することが可能とします。また、テレビ電話上では十分に把握できない点においては、各種サービスの担当者の方から情報を得たり、必要に応じて従来通りの居宅を訪問することによる面接に切り替えをさせて頂きます。
この新しい取り組みを実施するには、利用者様およびご家族様の同意が必要となります。
同意いただける場合は、以下の内容をご確認いただき、同意の意思表示をお願いいたします。
【同意書】
私は、毎月の訪問のうち2か月に1回をオンライン訪問に変更することに関する説明を理解し、以下に同意します。
- [ ] テレビ電話装置等を活用したモニタリングを希望します。
- [ ]テレビ電話装置等を活用したモニタリングを希望しません。
ご利用者様署名: ____________
日付: ____________
ご家族様署名: ____________
日付: ____________
ご不明点等がございましたら、どうぞお気軽に当事業所までお問い合わせください。
敬具
[あなたの名前]
[あなたの役職]
[居宅介護支援事業所の名称]
[連絡先電話番号]
[メールアドレス]
[日付]
利用者の同意を得られれば、サービス担当者会議等で主治医や担当者に以下の内容の合意を得ておく必要があります。
ⅰ 利用者の状態が安定していること。
ⅱ 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること
(家族のサポートがある場合も含む)。
利用者さんの心身の状況が安定していることを確認するに当たっては、主治の医師等による意見や、例示に示された以下の事項等も踏まえて、サービス担当者会議等において総合的に判断するものとされています。ケアマネージャーのみの一存で、「状態が安定している」と判断してはいけないということなのでしょうね。
・ 介護者の状況の変化が無いこと。
・ 住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
・ サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと
サービス担当者会議等とありますので、サービス担当者会議に限定されるものではありません。しかし、そのような機会を利用してあらかじめ合意を取っておくことが良いでしょう。またサービス担当者会議以外で合意を得たという場合は、支援経過等にその記録を残しましょう。
テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境等の情報については、サービス事業所の担当者からの情報提供により補完する必要があるとされています。この点について、サービス事業所の担当者にお願いして、必要な情報を収集するようにしましょう。
国の運営基準においても「サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量については留意が必要である。」とされています。居宅介護支援事業所の都合で、必要な情報を得ることになるので、ここはひとつ、ご迷惑にならいないようにしたいものです。
なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するに当たっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にしてね、とされています。以下が国から示された情報連携シートです。
さて、オンラインを活用したモニタリングを行うには、それが実現可能が検証をする必要があります。近年ではLINEを使う利用者さんも徐々に増えてきていますが、ビデオ通話をされている方は多くありません。では、そのような利用者さんに対しては全く活用の可能性がないのでしょうか?その可能性を考えてみたいと思います。
同居家族がいる場合、特に子どもがいる環境では、スマートフォンの利用が一般的です。利用者が自身でスマートフォンを持っていなくても、家族がLINEなどのアプリケーションを利用していれば、テレビ電話を通じたコミュニケーションが実現可能です。
居宅介護支援事業所が営業時間外であっても、家族の協力を得てビデオ通話を活用すれば、対応可能なケアマネージャーは少なくありません。特に、特定事業所加算の算定を受けている事業所の場合、24時間体制での連絡体制が整っています。
しかし、ケアマネージャーが営業時間外に対応することは、ケアマネージャーのワークライフバランスの問題から慎重な運用を心掛ける必要があります。
独居であり、利用者もスマホを使いこなすことが難しくとも、定期的な家族等の面会があるのであれば、その人の来訪時にモニタリングの手伝いをしてもらうことができるかもしれません。土日祝日においては、稼働していないケアマネージャーであっても、訪問がオンラインに置き換わるのであれば、休みであっても、特別この日だけオンラインモニタリングをするという選択肢ができるかもしれません。しかし、先ほど述べましたように、営業時間外でのモニタリングになりますので、その境界をあいまいにさせるものであることに、留意する必要があると思います。
利用者がスマートフォンでLINEアプリ等を使っているのであれば、利用者自身にビデオ通話を覚えてもらうことも一つの選択肢になります。LINEの通話やメッセージのやり取りが既にできているのであれば、ビデオ通話もそれほど難しいものでありません。LINEの会社からの通話アプリの使い方の方法などをプリントアウトなどし、対面訪問の際に伝授しておくことも、良い方法かと思います。
「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月 15 日)」でケアマネージャーのオンラインを活用したモニタリングについて訪問介護員に手伝ってもいいよという文章が示されています。内容は以下の通りです。
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えば ICT 機器の On/Off 等の協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法等は、あらかじめ指定居宅介護支援事業所と訪問介護事業所とで調整すること。
また、協力・連携の範囲について、利用者の要望や目的によっては、適切ではない場合等もあると考えられるため、その必要性等については、状況に応じて判断する必要がある。
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で行うことは、訪問介護員さんにアシストをしてもらうのは可能なのでしょう。それが、同法人の中に訪問介護ステーションがあれば、頼みやすいですね。個人的にヘルパーさんに頼むのではなく、事業所間で管理者同士などでの取り決めが必要になるかと思います。
オンラインモニタリングを行う場合は、利用表の交付を対面ですることができません。電子で交付して、同意をもらう方法もありますが、サービスがいつも一定の利用者さんであれば、2か月分まとめて利用表を交付する方法がよいかもしれません。
モニタリングがオンラインで可能な環境を設定するということは、営業時間外や、土日祝などの、ケアマネージャーの就業時間以外でも、メッセージアプリ等を介して連絡を取り合うことができる、つまりは繋がれるということになります。電話で連絡を取るには、はばかられる時間であってもメッセージアプリであれば、それ程抵抗がない人もいるでしょう。
これは一見喜ばしいことかもしれませんが、利用者さん側がケアマネージャーに期待する時間の幅が当然広くなることを覚悟しておく必要があります。就業時間外のモニタリングが常態化したら、ケアマネージャーのワークライフバランスが崩れる可能性があります。営業時間外にオンラインモニタリング行う場合については、一定のルールを設ける必要があるかもしれません。
残念ながら、ケアマネージャーの訪問をあまり好ましく思っていない利用者が一定数いるのは確かです。そういった利用者にとっては、モニタリングがオンラインにとって代わることは喜ばしいことかもしれません。しかし、そのような利用者さんとの距離を縮めるには、オンラインでは少しハードルが高くなるかもしれません。
また、訪問が減ることで「手を抜いている」「ケアマネージャーは楽をしている」と感じる利用者もいるかもしれません。よって、オンラインのモニタリングに切り替えることには、そのため、オンラインモニタリングへの移行は、最初は緊急時に限る、または新規の利用者から始めるなど、段階的に導入することが一つの方法です。
さて、今回はつぶあんこ的にオンラインモニタリングについて考えてみました。オンラインモニタリングの必要性は今後も増えていくでしょう。特定事業所加算を受け、24時間体制を整えている介護支援専門員にとっては大きな変化にはならないかもしれませんが、オンラインサービスの普及はケアマネージャーの仕事と生活のバランスに影響を及ぼす可能性があります。
明確なルールのもと、双方にとって適切な運用を目指したいものです。
では、今日も適当に頑張りましょう。ケセラセラ。