ケアマネの業務は国で示されている
最初からケアマネの行うべき業務を1から10まで理解して仕事をスタートされている方は少ないのではないでしょうか。もちろん私も理解していませんでした。とりあえず、ながーいながーい研修を経て、「こんな感じなんだ~」って雰囲気をばくっと掴んで、いざ実地へ。後は業務を通じて知識を付けている方がほとんどです。
先輩からの教えは絶対!そう思い疑いなく業務をしている方、多いですよね。しかしその教えの中に「先輩の思い込み」や「根拠のない事業所ルール」であったりすることが少なくありません。ケアマネがすべきことについては、きちんと国で決めらた基準があります。いわばケアマネの憲法のようなもの。
それが【指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準】です。この中身は全て大切なのですが、全部読んでいる時間はありませんし、表現が小難しいったらありゃしない。なのでここではざくっと解説します。
13条【指定居宅介護支援の具体的取扱方針】
ここには「ケアマネの業務ってこういう手順でしなさいよ」という内容が凝縮されており、いわば「ケアマネ業務の肝」の部分です。居宅ケアマネさんであれば、一度は一読した方がよい内容です。
この13条に決めらていることを行っていない場合、運営基準減算をくらってしまうような内容になっています。
ここでは第13条の中で、運営基準減算に相当する部分のみピックアップして紹介していきます。
では、早速見ていきましょう!
①当該事業所の介護支援専門員が、利用者の居宅を訪問し、利用者 及びその家族に面接していない場合には、当該居宅サービス計画に 係る月(以下「当該月」という。)から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
新規や変更の時にケアマネは居宅サービス計画を作成します。その原案を作成する前に利用者の家に行ってアセスメント(課題の把握)を行います。このアセスメンは対面方式で、居宅で行うことが原則です。利用者さんが入院中であることなど物理的な理由がある場合を除き必ず居宅を訪問することとされています。
ここで注意をして頂きたいのが、その家族ともあります。関係性という観点から一概に家族っといっても、いろいろな状況があると思いますが、家族との面接も含まれている事を念頭においておく必要があります。
②当該事業所の介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催等を行っていない場合(やむを得ない事情がある場合を除く。以下同じ。) には、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
居宅サービス計画の新規作成の時や変更、更新・区分変更の場合にはサービス担当者会議を開かないといけません。サービス担当者会議を開催していない場合は運営基準減算になってしまいます。なお、やむお得ない理由がある場合についてはサービス担当者に対する照会等により意見を求めることができます。
もちろんこの場合においても緊密に相互の情報交換を行い、利用者さんの状況等についての情報や居宅サービス計画の原案の内容を共有できるようにしなければなりません。
このやむを得ない理由がある場合というのが、
【指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について】
に記載されています。
・利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治医の医師又は歯科医師の意見を勘案して必要と認める場合
・開催の日程調整を行ったが、サービス担当者への参加が得られなかった事由により、サービス担当者会議への参加が得られなかった場合
・居宅サービス計画の変更であって、利用者の状態に大きな変化がみられない等における軽微な変更の場合等
・開催の日程調整を行ったが、サービス担当者への参加が得られなかった事由により、サービス担当者会議への参加が得られなかった場合
・居宅サービス計画の変更から間もない場合で利用者の状態に大きな変化がみられない場合等
担当者が欠席の場合は、照会に変える事ができるとされていますが、担当者会議の議事録にもその欠席する担当者さんや、欠席理由等を記載する事となっています。国が示す令和3年度版の記載要領がリリースされていますので、一度ご確認ください。
③ 当該事業所の介護支援専門員が、居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得た上で、居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付していない場合には、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
この「説明・同意・交付」。至る所に出てきますので、もうリズムのように覚えていきましょう。こきみよい、三拍子です。
ここの居宅サービス計画書は文書により同意となっていますので、口頭のみでなく、利用者さんからの文書で同意を頂く必要があります。介護のソフトによっては同意欄が消えてしまっているような事もちらほら噂で聞きます。しかし、同意欄が無くなったからといって、文書による同意が必要がなくなった事ではありませんので、ご注意ください。またこの同意については令和3年度から電磁的な取り扱いもできるようになりました。
ここで、注意したポイントとしては担当者にも必ず交付していないと運営基準減算の可能性があるという事です。必ず担当者に交付した事もわかるように客観的な証拠も残す事をお勧めします。
また医療サービスを利用している場合においては、主治医の先生への交付も必要です。居宅介護サービス原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者に遅延なく交付しましょう!
①当該事業所の介護支援専門員が1月に利用者の居宅を訪問し、利用者に面接をしていない場合には、特段の事情のない限り、その月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
モニタリングとは居宅サービス計画の実施状況の把握の事です。原則モニタリングは居宅で利用者さんと面談をして行われるものとされています。
② 当該事業所の介護支援専門員がモニタリングの結果を記録していない状態が1月以上継続する場合には、特段の事情のない限り、その月から当該状態が解消さるに至った月の前月まで減算する。
ここで注意のポイントは利用者さんのモニタリングをしていも、記録をしていなければ、運営基準減算となってしまう可能性があります。モニタリングについては、ほとんどの事業所さんが介護ソフトのモニタリングシートを利用されていると思いますので、抜けのないようにしていきたいですね。
またここでも出てきているのが、特段の事情です。これも【指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について】で以下のように示されています。
「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接をすることができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。さらに、特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。
基本的にはケアマネ事情は含まれていないという考えであると思いますが、介護支援専門員も人間ですので、コロナに罹患してしまった等においては、個別に保険者に確認する事が望ましいと思います。
もう知っているよ!!って内容も多かったかもしれませんが、そんな方も再確認できた!って事が少しでもあればうれしいです。何度も言いますが、運営基準減算ってケアマネにとっては、仕事の成果をいっきに吹っ飛ばすような破壊力を持つペナルティです。しかし、何をしたらいけないのかって事を理解していたら、ケアマネさんの大事な時間をうまく調整できるのではないかなと思っています。
では、また明日も適度に頑張りましょう。ケセラセラ。
とても参考になりました。
保険者によって多少視点や細かさが変わると思いますが、概ね基本が理解でき無意味に不安にならないで済むと思います。
ありがとうございます。